先日、家族と一緒に
「オールウェイズ3丁目の夕陽」を見てきました。
とってもいい映画でした。
映画の中で、子供が生活費を節約するために
給食を我慢して食べないで、
先生には「朝と夜にお腹いっぱい食べてるから」
という台詞を言うシーンがありました。
切ないシーンですが、
思いやりに溢れたとってもいいシーンでもありました。
実は似たようなお話しが実際にあるのです。
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ワタミフード社長、渡邉美樹さんの著書
「きみはなぜ働くか」のなかの
「はじめに」に出てくる1つのエピソードをご紹介します。
渡邉さんが理事長を務められている
NPO法人が建てたカンボジアの学校
(現在100校くらい)で
給食を始めたときの話です。
カンボジアの田舎の貧しい村ですから、
三日に一食しか食べられない子どももいます。
学校で給食が始まると、
早朝から待ちきれずに、
お腹をすかせた子どもたちが
食器をもって集まってきます。
朝、七時。
ごはんが炊き上がり、
「いただきます」と給食が始り、
みんなおしいそうに食べ出しました。
でも、一人だけ食べない子がいました。
その子はビニール袋(!)に
自分の給食を入れたのです。
しかも、給食が終わろうとした時、
何事もないかのように、
まわりの友達が自分の分を三分の一ほど残し、
その子のビニール袋に給食を入れて分けてあげました。
実は、その子の家には、
お腹をすかせた小さな弟や妹がいるのだそうです。
みんなはそれを知っていたのでしょう。
その子は、給食が終わると、
ビニール袋を抱いて、
飛ぶように走って学校を後にしました。
渡邉さんは言います。
「本当の豊かさって何だろう」
「本当の幸せって何だろう」
「カンボジアの子どもたちは教えてくれました。
モノは奪い合えば足りず、
分け合えば足りるのです。
自分だけの幸せなんてないんだ。
幸せは、人のそれと重ねるものなんだ」
私たちは、自分のことだけ考えていては
本当に豊かにも、幸せにもなれません。
貧しくとも、心が豊かな人は、
子どもでさえ人のことを考えてあげています。
そして、自分の分まで分け与えて、
いっしょに幸せになろうとします。
そんな思いやりを、優しさを、
私たちは、きっと、みんな、
もっているのです。
出典:渡邉美樹著『きみはなぜ働くか。』(日本経済新聞社)