ずっと昔、人々が苦しい暮らしをしている
石ころだらけの土地をひとりの哲人が放浪していた。
ある日、丘の上で群衆に囲まれた彼は、
古今東西を通じてもっともよく引用されることになる
言葉を群衆に伝えた。
幾世紀にもわたって語りつがれているその言葉とは・・・
「それゆえ、あすのことは考えるな。
あすのことはあす自身が考えるだろう。
一日の苦労はその一日だけで十分だ」。
多くの人々は、「あすのことを考えるな」という
キリストの言葉に従わなかった。
人々は、この言葉が実行困難な思想であり、
根拠のない考えだとして、拒絶したのだった。
彼らは言う。
「あすのことを考えないわけにはいかない。
自分の家族を守るために、
保険をかけなければならない。
老後に備えて、金も貯めなければならない。
立身出世のことを考え、その準備をしなければならない」と。
確かに、そのとおりだ!
いずれにしても、明日のことは配慮すべきである。
細心の注意を払って計画し準備すべきである。
だが、
心配するには及ばない。
※出典:D.カーネギー著「道は開ける」より