花になりたい
「私は燃え尽きた灰のよう・・・
何を目標に生きていけばいいのか、わからず、
これまでの人生は何だったのかというむなしささえ覚えるのです」
ある初老の女性が、自分の人生を振り返り、
そのような愚痴や不安を口にしました。
話を聴いていた鈴木さんは、
ひとつの短い詩を毎日繰り返すことをすすめます。
えんぜるになりたい
花になりたい
これは、八木重吉という人の詩です。
彼女は、その日から毎日、この言葉を繰り返しました。
すると、ある日偶然に、
彼女の胸を打つテレビ番組に出会ったのです。
90歳になる女性が、庭に植えたたくさんの花々を世話しながら
いかにも楽しそうに対話しているのに目を見張りました。
その姿が花畑に降りた天使のように見えたです。
そのうち彼女は、自分の家の庭に草花を植え出しました。
水をやりながら、草花に話しかけ何を欲しているのか
耳を澄ますようになりました。
それはそれは楽しい毎日でした。
家族からは、「お母さん、最近変わったね」
と言われるようになったそうです。
「草花の声を聞こうとすると、
家族一人ひとりの心の声も
聞こえるようになってきたのです。
草花がくれた贈り物です」
そう語る彼女は、天使のようにさわやかでした。
※出典:鈴木秀子著
『幸せに気づく時間 毎日を笑顔に変える35のストーリー』