作家の宇野千代さんは
雑誌で「失恋」の特集があるときは、
必ず声をかけられるほど、
失恋のスペシャリストだったそうです。
失恋検定試験があったら1級間違いなしというほど
失恋の仕方がうまかったようですね。
では失恋のプロ、宇野千代先生に語ってもらいましょう。
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「私はたった一人で、自分ひとりきりで失恋します」by宇野千代
「友人にグチらない」
どんな状況でもグチらない。
これが失恋2級への第一歩です。
「では私は身を切るような失恋の苦悩を他人にも語らず、
じっと胸の中に秘めていたかというと、
それが大間違いなんです」by宇野千代
「私の失恋は、いつでも、とても派手なんです。
最大限に表現するということです。
自分ひとりきりで、それはそれは眼も当てられないほど、
わァわァ騒いで泣くのです。
そこにいない相手を掻き口説きながら蒲団にしがみついて一晩中、
芋虫みたいに転げまわったり、セミみたいに柱につかまって、
おいおい泣いたり、
人通りのない裏町を恋人の名を呼びながら駆け歩いたり、
それはそれは大騒ぎをするのです。
こういう失恋による体の運動を私は失恋体操と呼びます。
こうして鳥か、虫みたいになって体をよじって
泣いてる間に実に不思議なことですが、
なにか体の中にあった固いしこりみたいなものが発散して
ケロッと失恋の虫が落ちて了うのです」
「ウソみたいな話なんですけど、これはほんとうです」
と宇野さんはおっしゃっています。
失恋体操。ものすごい効果を発揮するようです。
心の切なさは消そうと思っても消せないけれど、
体のしこり悲しみを最大限に表現することで
発散してしまうんですね。
失恋体操のあとでは
「あれ?あたしなにを騒いでたのかしら」
ってくらい、からっとした気持ちになるようです。
これで失恋対策は万全!
安心して恋をしてください。
そうは言っても…
「でも、やっぱり好きな人に思いを伝えることができないんです」
と言う人が多い。
「成功も失敗も結果にすぎない。なにをおそれることがあろう」by宇野千代
◎出典「幸福を知る才能」宇野 千代著(海竜社)